05.17 ブラックスワン ★5
米評価 ★★★★★
主演
ナタリー・ポートマン
監督
ダーレン・アロノフスキー
内容
ナタリー・ポートマン、ミラ・クニス共演の心理スリラー。
ニューヨークのバレエ団に所属するニナ(ポートマン)は、元バレリーナの母とともに、その人生のすべてをダンスに注ぎ込むように生きていた。
そんなニナに「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが巡ってくるが、新人ダンサーのリリー(クニス)が現れ、ニナのライバルとなる。
役を争いながらも友情を育む2人だったが、やがてニナは自らの心の闇にのみ込まれていく。
ネタばれ注意!
感想
「絶対に面白いだろう」という期待感を持って映画を観ました。
「ブラックスワン」の監督、ダーレン・アロノフスキーが「パーフェクトブルー」の実写化の権利を得ているからです。
ですが、ブラックスワン=パーフェクトブルーという点についてアロノフスキー監督は否定しているんですよね。
実写化の権利を得たのは監督の「レクイエム・フォー・ドリーム」という作品で下記のシーンを使う為であって、「ブラックスワン」とは関係ないという。
↓これが噂のシーン
「パーフェクトブルー」は私の大好きな映画のひとつです。
自分自身への葛藤で自身を失い、「あなた、誰なの?」と自身に問いかけるシーンは、見る者をも惑わせます。
映画評論家である町山氏があおるように今敏監督に(少しでも)影響を受けたのであれば、それを認めクレジットに入れてほしかったですね。
まあ、そんなこんなで監督の権利という情報を得て私は“比較”して観ましたが、これはもう別の作品です。
確かにアロノフスキー監督の言う通りなのかもしれません。
途中までは「じゃあ次はこうなるのか?」と予想してしまいましたが、ベスに責められるシーンからブラックスワンを踊り上げる頃にはこの作品に魅了されていました。
先ず、出てくるキャストの配分。
これ初見だからでしょうか、完璧だったと思います。
主人公のニナの葛藤をメインにおき観客の心を捕まえ、トマスの距離感もちょっといやらしすぎるかもしれませんがベタベタしすぎずバッチリ。
リリーの助演ぷりはいいですね。
悪(ブラックスワン)へ引き込みニナを陥れるだけと思いきや、楽屋へ訪れるシーンで彼女のキャラもちゃんと緩和している。
ニナのお母さんも、過保護プラス自分の過去をニナへ依存させる事で、うまくニナを追い込めてる。
ベスはニナの将来とも言える部分をしっかり描けていて彼女もニナを追い込めています。
ヴェロニカがニナにとっての最初のライバルと思えたのでもう少し出てもいいのにと思いましたが、新たなライバルと言う事でリリーが居ますもんね。
108分という上映時間が足りなくも思えますが、全てのシーンに意味があって、伏線回収もくどくなく、とっても楽しめました。
気になったのは、ベスの自傷シーン。
あれってエレベーターでニナが爪やすりをもっていましたよね?
どうゆう事なんでしょうか。
それと、この映画でニナは“自分自身”と闘っていましたが、自身に“足りないもの”を求めているだけで自分は持っていましたよね?
「あれ?これ夢?」ってシーンは少なく思えたので、「パーフェクトブルー」より現実と妄想が理解しやすかったんです。
だから最後の喝采で「ニナ!」と観客が熱狂的に彼女の存在を認める呼びかけがちょっとわからなかった。
それなら“完璧”を求めるニナにとって、「素晴らしい!完璧だ!」と称えた方が良いのでは?
なんだかここがひっかかって、「やっぱりパーフェクトブルーじゃん」って思ってしまう自分が居ます。
そしてエンドロール。
せっかくあの脚本なんですから、白から黒へと変わる羽より、白い羽が血によって赤く染まり黒くなっていく方が良いなあとも思ったり。
あ!あと、最初のタイトル!
黒い背景に白い文字でBLACK SWANなんです。
そして最後は白い背景に黒い文字でエンドロール。
あれって逆の方がよくありません?
だってニナは白鳥はもともと完璧ですが、最後に黒鳥をも完璧に踊るんですもの。
ああ、でもタイトルやエンドロールにも私には気が付けない想いがあるのかな。
ええ、上記3点気になりますが、とにかく“完璧”でした。
キャストの役割とか配分、エンドロールまでが完璧だった気がします。
映画館で観て良かったです。
あ、今思ったんですが、もしかすると監督も幻影に悩まされているとか?
完璧でありたいゆえに自分自身と葛藤してる。
だが越えられない壁がある…とか?